海外CAD事情:upFront.eZine - Issue #341(日本語版)

May 16 2003  日本語版サイト  http://www.rrcorp.co.jp/

英語版サイト   http://www.upfrontezine.com/


今週号の内容:

* エディタからの連絡
* 重要ニュースの断片
  - Autodesk
  - Avatech Solutions I
  - Avatech Solutions II
  - EDS I
  - EDS II
  - daratechSUMMIT
* プレスリリースのサマリー、及び他のレギュラー項目

エディタからの連絡

今週号もいつもよりも早く発行する。今回の理由は、今年バルチモアで開催されるBIUCBentley Systems' annual user conference)に出席するためである。

ウォータフロント近くに位置したコンファランスセンターからのライブビューを見るには、次のサイトをクリックすればいい。http://www.chapmancompany.com/camera.html

重要ニュースの断片

今週号を準備しているときに、数多くのしかも重要なニュースがあるのに目が留まった。

Autodesk

Autodeskは同社のInventor Seriesが、“製造業界で最も良く売れた3Dデザインソフトウェアとなった。3D機械系CADに関する2002年の公表出荷本数によれば、一般ユーザでのAutodesk Inventor Series購入は47,000セット以上であり、PTCSolidWorks及びDassault Systemesなどの競合製品を上回る出荷本数であった。”、という発表を行った。

この出荷データはいささか誤解を招き易い。なぜなら、Inventor SeriesInventorMechanical Desktop、及びAutoCAD(この上でMDTは使用できる)という三つの製品から構成されているからである。Mechanical Desktopだけを欲しい顧客にもInventorが付いて来るので、出荷シートのカウントが水増しされる結果となる。

面白いことに(少なくとも私にとっては)、AutodeskSolidWorksDassault (DSSolidWorksを所有)とは分けてカウントし、EDS SolidEdgeに関しては言及がない。これはAutodeskSolidEdgeを競合とは考えていないためか、それともInventor Seriesよりも多く出ているためか、一体どちらであろう?

Avatech Solutions I

Avatech Solutionsは同社のPrescientQAソフトウェアをAvatechの欧州におけるディストリビュータであるTDCiに売却する。“PrescientQAソフトウェア・スイートの売却は、デザインオートメーション領域でのミドルマーケットに注力する我々の全体プランの一部である。”、とAvatechCEOであるScotty Walshは述べている。売却価格は公表されていない。

今年初めのインタビューでは<http://www.upfrontezine.com/upf-331.htm#b>、同社の将来計画の中でPrecscientQAの果たすべき役割がないとは言明されなかった。当時私は次のように書いたものである。“PlanetCADから引き継いだソフトウェアをどうする積りなのかが私には疑問であった。Fischer氏はそれに対して、PrecientQAデザインモニタリングソフトウェアは‘暗闇の中のダイヤモンド’であり、‘磨く必要のあるダイヤモンド原石’ではないと答えた。”

Avatech Solutions II

前記のインタビューで、Fischer氏はAutodesk以外のソフトウェアを販売するために同社が当時踏み切ったEDSとの合意を“大いなる変化”と呼んでいた。大いなる変化はさらに変化する。プレスリリースの最後の文章で、EDSとの話し合いを終結させたとAvatechは報告している。AvatechEfactoryTeamCenterEDS PLM販売代理店となることはない。

その代わり、AutodeskのスーパーディーラーであるAvatechは、SMARTEAM PLMの“統合ソリューションプロバイダー”販売代理店のこと?]とCAA V5パートナーとなる期待を抱いてDassault Systemesの方に向きを変えている。その理由? “合意の中にはAvatechPLMマーケティング、販売、及びサービスチームの体制を加速させるためのDassaultからの財務支援が含まれている。”投資金額は公表されていない。

これはDassaultが財務援助を行う2番目の元競合相手である。今年初め、DassaultPTCと仲が良かったRAND Technologies2,200万カナダドルを越える投資を行った。前四半期のAvatechの総収入は670万ドルで、損失が758,790ドルであった。

EDS I

EDSはアリゾナ州スコッツデールで開催されるCOFES 2003コンファランスに合わせて、今週Unigraphics NX 2を発表する。“NX 2は、UnigraphicsI-deasという世界でもトップクラスの製品開発向けソフトウェア二種の統合という次のステップを体現したものである。両製品は2001年に同社が前UGSSDRCを買収・合併して手にしたものである。”

NXについては私自身もっと知っておくべきであるが、実はよく分っていない。Unigraphicsは自動車関連などの超大手企業で使用されている類のプロダクトである。お気に入りの息子であるUnigraphics に統合させることによって、I-DEASの顧客の怒りを静めようとするEDSの試みにはそれでも感服させられる。プロダクトをいったん買収し、顧客(今では元顧客であるが)の反感を買う中でそのプロダクトを捨て去るほど、そこまで思慮深いCADベンダーは他にあるだろうか。

EDS II

EDSはテレビや雑誌広告を始められるほど裕福になったと感じている。テレビ広告の一つは次のようなものである。“線路上で車が動けずにいる。慌てたドライバーや乗客が車から飛び出して難を逃れようとしたが、電車は車には衝突せずに走り去った。喜んでいると、電車が突然に反対方向からやってきて、車を跳ね飛ばしてしまった。何が起きるかを予測することは時に難しいことを示すものである。”個人的経験に照らしても、さもあらんことは疑いない。

雑誌広告は正に!)CAD事業部用のものである。同社では“PLM”事業部と呼んでいるが。 Matrixからの何がし”という参照スポットを矢印が指していて、そこがEDS PLMソフトウェアがビジネスを推進できる場所として示されている。Matrix’とは車のこと? それとも映画?

 

DaratechSUMMIT

PLMと言えば、DaratechSUMMITは新しい3文字略語TLAの発生地となっている。そこでは古い3文字略語と新しい3文字略語が、ビジネス用語が散乱した長い散漫な表現企業のCEOのスピーチの中に相互に入り混じって、分かったようで実は分からない説明になっている。思い浮かぶ言葉だけでも、PDMERPCADCAMCRMCFDCAEMRPEDMMPMBOMMISVAREKICPCRPDCPDCPOOEMFEA、及びPLMなどがある。CAIDCPDm、及びCAPEなどのように、3文字に収まらなかった略語もいくつかある。それらの造語者はTLAスクールに通わなかったが故に、多くの支持者を得ることに失敗した。

CEO向けのイベントに関するMartyn Dayの嘲笑的なレポートの第1部を読んでみることだ。CEOの多くはそのイベントに出席しなかったのだが天候のせいで)。レポートは、
http://www.caddigest.com/subjects/industry/select/day_daratech2003_pt1.htm。しかしながら、第2部を私は見つけることができなかった。どうなっているの、Martin

プレスリリースのサマリー

見落としていた人のためにCAD関連プレスリリースのサマリーを掲載しておきたい。

Nemetschekは、Windowsコンパチブルで、後に続くコマンドをビジュアル表示する特徴を持ったAllplan 2003を今日出荷する。例えば、アニメーションは建築エレメントの定義や選択をプレビュー表示する。DXFDWGDWFSVGDGN、及びIFCを処理できる。http://www.nemetschek.de/

Nemetschekは同社の土木技術者向けCADシステムAllplotの名称をAllplan 2003 Engineeringと改称した。allplanの‘a’が大文字にも変わっている。

OpenDWG Allianceは先週、AutoCAD 2004用に更新されたDWGdirectライブラリを会員に出荷した。OpenDWG の言によれば、DWG 2004は“ファイルフォーマットに相当複雑なデータ圧縮とヘッダー暗号化が施されている。AutoCADの前のバージョンはファイルサイズを縮小するために基本的な圧縮形式を採用し、埋め込まれたACISソリッドモデルのデータの暗号化も簡単なものであった。AutoCAD 2004 DWGにおいては、殆どすべてのデータ構造に広範囲の圧縮アルゴリズムが適用され、ファイルとセクションのヘッダーはマジックナンバー/XORアルゴリズムを使った暗号化が施されている。”
http://www.opendwg.org/

Visioから引き継いだArchTシンボルライブラリをMicrosoftはどうする積りなのか、私は前から気になっていた。VisioはそのシンボルライブラリをKetiv現在ではRAND Internationalの子会社であるImaginit Technologiesの一部分から買収していた経緯がある。現在私が耳にしている情報は、Microsoftと契約してAutodsysが独占的販売権を得たというものである。IntelliCAD Technology ConsortiumArchTプログラムのソースコードを管理しているが、シンボルライブラリはそうではないので、私は事の詳細を知ることに非常に興味がある。

私が執筆した最新の本がAutodesk Pressから出版された。“The Illustrated AutoCAD 2004 Quick Reference(US$31.95; ISBN 1401850146)という本で、全コマンドドキュメント化されていないコマンドも含めをアルファベット順にリストアップしている。全体で768ページの大冊である。詳細は次のサイトで得られる。
http://www.delmarlearning.com/Browse_CatalogDetail.asp?XXID=11950&ISBN=1401850146

セミナーとコンファランス関連の情報

CIMdata 2003 PLM Conferenceがミシガン州ディアボーンのHyatt Regencyホテルで623日〜25日に開催される。主題は、“PLM: The True Killer Enterprise Solution?”。
http://www.cimdata.com/ 

AIA Conventionがイリノイ州シカゴで610日〜12日に開催される。

コンピュータ関連ニュースのサマリー

Cisco Systems2年以内に40Gbit/秒のイーサネットが技術的に可能としている。30年前の来週、ネットワーク標準が4メガビット/秒で始まったが、その後、10Mbps100Mbps1Gbps、そして今では10Gbpsである。

一見の価値あるWebサイト

http://www.spc.noaa.gov/archive/tornadoes/
竜巻のデータアーカイブ
米国における竜巻のすべての種類のデータとチャート

http://news.com.com/2100-1016_3-1001845.html?tag=fd_top
Microsoftのライバル撃退法”
競合からのプレッシャーがMicrosoftを如何にして革新的にしたかを述べている。

読者からのレター

RE: 市場予測がマイナス予測であったことがあるか?

アナリストが一体なぜマーケット縮小予測をするのだろうか? 詰まるところ、もし誰かに多額の金額を払って自分達の事業と将来を評価させれば、自分達のマーケットが縮小しているという評価は聞きたくないだろう。

私が察するに、アナリストに金を払って明々白々な事実を述べさせ、新しい略語を作らせ、そして 毎月第3日曜日にオレンジ色のCDケースに入れて配送されるKという文字で始まるソフトウェアシステムのマーケットリーダーとして依頼主を名指しするためだったのだろう。”
- Al Dean
England

エディタのコメント:“もうその手のベンダーばかりではない。資格も無いのにマーケットリーダーという言葉を使用することは当節では流行らない。”


RE: タイル貼り用のCAD

このCADニュースレターを愛読している。タイル設計ビジネス床や壁のタイルに向いたCADを何かご存知ないか?”
- Warren Withers
USA

エディタの回答:“誰かWithers氏が探しているCADを知っている人があれば、私まで連絡をお願いしたい。”


RE: AutoCAD LTのアドオン

340号の中で、AutoCAD LTの機能に付加、追加、補完する多くの製品の内の2つが紹介されていた。AutoLISP-LTARX-LT3DSolids-LT、等々を付け加えていけば、完全版AutoCADの定価と比べてあまり違いが生じないのではとも思うが。”
- Jim Longley

エディタの回答:“LTアドオン・マーケットのベンダーは、低価格マーケットでビジネスを行っている関係上、価格には相当気を使っている。AutoCAD 2004Autodesk Webサイトでの価格は$3,3952002よりも100ドル値上げで、LT$725である。LTアドオンは通常$40$240であり、多数のアドオンを加えてもまだ安い。

しかしそれでも、あなたの質問は価値のある質問である。Timex Sinclairコンピュータが1980年代初めに出てきた時の事を私は今でも覚えている。価格は僅か99ドルであった。しかし、使い勝手を上げるために色々な物を付け加えていったら、400ドルになってしまったのである。結局、私はHP41CV電卓を買うことにした。”


RE: Mac OS X用のAutoCAD

そうなるかどうかは、Appleがどれだけ真剣にAutoCAD移植を願っているかに因るのだろう。開発工数に対してAppleが相当な時間と資金を提供するのであれば、Autodeskは移植に踏み切るのかもしれない。しかし、もし最初のリリースがあまり売れなければ、Autodeskはサポートをたちまち断念することだろう。”
- David W. Claflin
USA


RE: pdf995

これはCADの操作が良く分っていない人やCADを持っていない人に、ファイルを送って見てもらうには優れた製品である。しかしながら、pdf995から印刷した図面には、寸法を拾えるほどの正確さはないことを私は経験している。”
- Tony Terich
USA


RE: BoCAD

ArchiCADよりも、AutoCADよりも、そしてMicroStationよりも前の、1970年以来CADの事業を行っている会社がある。確かに主流のCADではないし、多数ユーザ向けのCADでもないが、しかし長期に渡って使用されている。http://www.bocad.com/のサイトを見てみることを薦める。他のCADベンダーが今やっと始めたようなことを、彼らは長年既にやってきている。”
- Robert McCartney
Australia


RE: TurboCAD Manual

4月に貴誌で紹介されたTurboCAD Version 9のレビューを今読んだところである確かに、いささか遅いのであるが)。そこには、書き直されたレファレンスマニュアル、特に各コマンドに対するミニチュートリアルに関する褒め言葉があった。

私がそのマニュアル及びマニュアルから作成したオンラインヘルプを書いたこともあり、その褒め言葉に対するお礼を言いたかった。この機会に、臆面も無く私の売込みもさせて頂きたい。

私は構造設計技術者であり、CAD/CAM/CAEソフトウェアのドキュメント作成を今で約7年間やっている。マニュアル、チュートリアル、デモ、オンラインヘルプ、等々に関して外部の助けを必要としているCAD会社に出会うことがもしあれば、私の名前を伝えて頂ければありがたい。”
- Bonnie Roskes
<bonnie.roskes@verizon.net>

貴誌を愛読している。口当たりを良くして大手企業を喜ばすようにはしていないマガジンである。”
- Surya

各国語版:

英語版オリジナル版)
エディタ:Ralph Grabowski
http://www.upfrontezine.com/

スペイン語版
http://www.geocities.com/cjmaccio/
エディタ:Claudio Jose Maccio <claudiom@elsitio.net>

ポルトガル語版
エディタ:João Brogueira <formacad@mail.telepac.pt>
http://www.formacad.info/

フランス語版
エディタ:Patrick Emin <pemin@club-internet.fr>
http://minilien.com/?DPJwH1AeVP

日本語版
エディタ:大串 康彦 <yasu@rrcorp.co.jp>
http://www.rrcorp.co.jp/

 

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